专利摘要:
本発明者らは、25−OH D3(カルシフェジオール)を用いて、筋力、筋機能またはその両方を増すことについて開示する。任意に、ビタミンD3(コレカルシフェロール)を25−OH D3と併用してもよい。医薬組成物の形態と投与量ならびに、薬の製造方法についても開示する。
公开号:JP2011511828A
申请号:JP2010546334
申请日:2009-02-12
公开日:2011-04-14
发明作者:スヴェン ヴォルフラム,;カイ ウルバン,;ヴォウター クラエルホウト,;エリサベス シュトークリン,;ニール,;ロバート バック,;ブルーノ,;エイチ. ローエンベルガー,
申请人:ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.;
IPC主号:A61K31-593
专利说明:

[0001] [技術分野]
本発明は、25−ヒドロキシビタミンD3(カルシフェジオール、25−OH D3)を使用して、筋力、筋機能またはその両方を高めることに関する。任意に、ビタミンD(コレカルシフェロールおよび/またはエルゴカルシフェロール)を25−OH D3と併用してもよい。]
[0002] [背景技術]
ビタミンD(エルゴカルシフェロールおよびコレカルシフェロールなど)とは、それぞれの生物活性によって定義される脂溶性化合物の総称である。ビタミンDの欠乏によって、子どもではくる病、成人では骨軟化症が起こる。しかしながら、数ヶ月間にわたって1日あたりの推奨摂取量(すなわち、ビタミンD5〜15μgまたは200〜600IU)の100倍を超えて慢性的に摂取すると、毒性が生じる可能性がある。ビタミンDの場合、「毒性の閾値は体重1kgあたり1日で500〜600mcgである。通常、成人はRDAの3倍を超えて長期間消費すべきではない」(Garrison & Somer, The Nutrition Desk Reference, Third Ed., McGraw−Hill, pg. 82, 1997)。高カルシウム血症は、25−ヒドロキシビタミンDの血中濃度が375nmol/Lを超えると生じることがある。最近になって、ビタミンDの安全な上限レベルは少なくとも250μg/日(10’000IU)であることが確認された(Hathcockら Am.J Clin. Nutr. 85:6〜18, 2007)。このような健康補助食品を摂取すると、25−ヒドロキシビタミンDの血中濃度が約200nmol/Lになることが明らかになっている。]
[0003] ビタミンDは、25−ヒドロキシビタミンD(カルシフェジオール;25−OHビタミンD;25−OH D)を生成するのに肝臓でのヒドロキシル化が必要なプロホルモンの1つであり、この25−ヒドロキシビタミンDが腎臓や他の組織でさらにヒドロキシル化されて、ビタミンDの活性ホルモン形態である1,25−ジヒドロキシビタミンDが生成される。1,25−ジヒドロキシビタミンDは、血液中に放出され、ビタミンD結合タンパク質(DBP)と結合し、標的組織まで運ばれる。1,25−ジヒドロキシビタミンDとビタミンD受容体とが結合することで、この複合体が細胞核で転写因子として機能するようになる。]
[0004] ビタミンD欠乏によって、骨吸収が促進されることがある。また、それによって、心臓血管系、免疫系、筋肉系の機能が調節されることもある。疫学的研究では、ビタミンD摂取とそれが血圧またはグルコース代謝におよぼす影響との関連性が見いだされている。ビタミンDの活性は、副甲状腺ホルモンによる負のフィードバック制御下にある。]
[0005] ビタミンDと25−OH D3は、ともに今まで医薬品として投与されてきている。ビタミンDは、言うまでもなく、広く利用可能である。米国では以前、25−OH D3がオルガノン(Organon) USAから「CALDEROL」という商品名で販売されていたが、現在はFDAの販売中止対象薬の一覧に含まれている。これは、コーン油と25−OH D3を含有するゼラチンカプセルであった。]
[0006] 現在は、液状の25−OH D3が、スペインにてFAESFarmaから「HIDROFEROL」という商品名で油性溶液として販売されている。]
[0007] また、ビタミンDと25−OH D3との組み合わせが、動物の飼料に用いられている。飼料用の25−OH D3は、DSMから「ROVIMIX HY−D」という商品名で市販されている。]
[0008] 5%〜50%(wt/wt)の量で油に溶解された少なくとも25−OH D3と酸化防止剤、25−OH D3と油の液滴をカプセル化する作用剤、栄養添加剤(ビタミンD3など)を含む飼料プレミックス組成物が、Tritschら(米国特許出願公開第2003/0170324号明細書)によって開示されている。このプレミックスを、家禽類、ブタ、イヌまたはネコ用の食品に添加してもよい。この組成物は、25−OH D3を酸化に対して安定させる。]
[0009] 25−OHビタミンD3とビタミンD3の組み合わせを動物用の飼料に添加することが、Simoes−Nunesら(米国特許出願公開第2005/0064018号明細書)によって開示されている。特に、約10μg/kg〜約100μg/kgの25−OHビタミンD3と、約200IU/kg〜約4,000IU/kgのビタミンD3を、ブタ用の飼料に添加する。この添加によって、ブタの骨強度が改善される。]
[0010] 25−OHビタミンD3とビタミンD3の組み合わせを家禽類用の飼料に添加して、脛骨軟骨発育不全症の影響を改善することが、Starkら(米国特許第5,695,794号明細書)によって開示されている。]
[0011] Borensteinらの米国特許第5,043,170号明細書には、産卵鶏および老齢鶏の卵殻強度および下肢強度を改善するための、ビタミンD3と、1−α−ヒドロキシコレカルシフェロールまたは1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールのいずれかとの組み合わせが開示されている。]
[0012] Chungらによる国際公開第2007/059960号パンフレットには、ビタミンD3と25−ヒドロキシビタミンD3の両方を含有する食餌を与えられた雌ブタで、全身の健康状態、体格、産仔数と健康、その他の生産パラメータが改善されることが開示されている。また、ヒト用の25−OH D3栄養補助食品が開示されているが、体重1kgあたり5〜15マイクログラムというその投与量の範囲(一人あたり300〜900マイクログラムという極めて高い一日投与量に相当)は極めて高い。]
[0013] PCT/EP08/006357号明細書には、仔ブタに25−OH D3を(妊娠した雌ブタの餌に混ぜて)出生前曝露すると、子孫の筋肉の発達がよくなることが開示されている。]
[0014] 本発明者らの知るところでは、従来技術は、25−OHビタミンD3または25−OH D3とビタミンDの組み合わせをヒト用の薬として使用して、筋力、筋機能またはその両方を高めることについては、何ら教示または示唆していない。他の利点および改善点については、後述するか、あるいは本明細書の開示内容から自明であろう。]
[0015] [発明の概要]
本発明によれば、25−OH D3で毎日または毎週治療すると、意外なことに同じ投与量のビタミンD3を摂取する場合に比して筋力および/または筋機能が改善されることが見いだされている。]
[0016] よって、本発明の一態様は、25−OH D3を薬として用いて、ヒトの筋力および/または筋機能を高めることにある。この薬は、任意にビタミンDをさらに含むものであってもよい。ヒトは、子どもや若者をはじめとして、誕生から成人まで、18歳から80歳まで、あるいは80歳を超えるなど、どの年齢であってもよい。医薬組成物の形態と投与量ならびに、薬の製造方法についても開示する。]
[0017] 本発明の別の態様では、25−OH D3とビタミンDの組み合わせを使用して、ヒトの筋力および筋機能を高めることである。]
[0018] 任意に、25−OH D3と一緒にまたは別々に、ビタミンD3を投与してもよい。これについては、1日1回、1週間に1回または1ヶ月に1回投与してもよい。通常、投与期間は、筋力の変化をはっきりと確認できるように、少なくとも1ヶ月であり、好ましくは2ヶ月を超え、さらに好ましくは少なくとも4ヶ月である。筋力を測定するには、膝屈筋および伸筋力試験など、当該技術分野で認められている試験を使用してもよい。]
[0019] 別の態様では、有効量の25−OH D3を投与することで筋機能を高める方法が得られる。任意に、25−OH D3と一緒にまたは別々に、ビタミンDを投与してもよい。これについては、1日1回、1週間に1回または1ヶ月に1回投与してもよい。筋機能は、反復座り立ちテスト、タイムアップアンドゴーテストなど、当該技術分野で認められている試験によって評価してもよい。]
[0020] 別の態様では、ビタミンD3と、25−OH D3と、薬学的に許容されるキャリアとを、筋力を高める量で含む、ヒトでの用途に適した医薬組成物が得られる。]
[0021] さらに、本発明によれば、25−OH D3とビタミンDの組み合わせが、ビタミンDと25−OH D3単独のどちらの存在とも関係のない多数の遺伝子をはじめとする、相乗数(synergistic number)のビタミンD応答性骨格筋遺伝子を、相乗的に制御する(上方制御または下方制御のいずれか)ことが見いだされている。これは、実質的にすべてのビタミンDが最初に25−OH Dに代謝されることを前提とし、現在のビタミンD代謝のモデルでは説明されていないため、意外な結果である。]
[0022] 本発明による組み合わせによって、以下の2つの大きな利点が得られる。
1)25−OH Dの迅速かつ相乗的な血漿応答が生じる。
2)予想外に顕著かつ長時間にわたる血漿25−OH Dレベルの定常化につながる。これらは、ビタミンD欠乏が原因となる筋障害の特に重要な治療目標すなわち、25−OHを筋組織に十分に供給するための最適以下のビタミンDの状態と長期かつ安定した血漿濃度をすみやかに回復することである。]
[0023] 本発明の別の態様は、25−OH D3を含有し、好ましくはビタミンDと25−OH D3の組み合わせを含有する、筋力および筋機能を維持するのに適した、ヒトの消費用の食品、機能性食品、栄養補助食品または栄養補給食品である。]
図面の簡単な説明

[0024] 後肢負荷軽減(「HU群」)と処理群(ビタミンD3、25−OH D3または組み合わせ)でのマウス遺伝子の発現の異なるプローブセットに関するベン図を示す。
25−OH D3処理群と、25−OH D3+ビタミンD3の組み合わせを用いる処理群との間で、遺伝子の発現の異なるプローブセットに関するベン図を示す。
ビタミンD3処理群と、25−OH D3+ビタミンD3の組み合わせを用いる処理群との間で、遺伝子の発現の異なるプローブセットに関するベン図を示す。
HU群と、25−OH D3およびビタミンD3の組み合わせ処理をほどこす群との間で、遺伝子の発現の異なる1745プローブセットの特徴抽出(GeneGo MetaCoreで実施)である。
25−OH D3+ビタミンD3処理群における発現の異なるプローブセットと、選択した骨格筋遺伝子のプローブセットとに関するベン図を示す。
25−ヒドロキシビタミンD3処理群における発現の異なるプローブセットと、選択した骨格筋遺伝子のプローブセットとに関するベン図を示す。
ビタミンD3処理群における発現の異なるプローブセットと、選択した骨格筋遺伝子のプローブセットとに関するベン図を示す。]
[0025] 本明細書および特許請求の範囲全体で使用する場合、以下の定義を適用する。]
[0026] 「ビタミンD」は、ビタミンD3(コレカルシフェロール)および/またはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)のいずれかを示す。ヒトは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)を生成できないが、これをビタミンD源として使うことはできる。ビタミンD2は、さまざまな植物によって合成可能であり、ビタミンDに相当するものとしてサプリメントでビタミンDに使用されることが多い。]
[0027] 「ビタミンD代謝物」は、25−ヒドロキシビタミンD3以外のビタミンDの代謝物を意味する。]
[0028] 「25−OH D3」は、具体的には25−ヒドロキシビタミンD3を示す。]
[0029] 「25−OH D」は、血漿中に見られる主要な循環型であるビタミンD2またはビタミンD3のいずれかの25−ヒドロキシル化代謝物を示す。]
[0030] 「予防する」には、疾患の寛解、症候の重篤度の低減、早期介入、疾患の発症期間の延長を含むことを想定しており、患者がその疾患にもはや羅患しないとか、何の症候も経験しないとかいった状況に限定されることを意図したものではない。]
[0031] 別の実施形態では、多数回分の投与量のビタミンDまたはビタミンD3と、ある投与量の25−OH D3とからなるキットが得られる。これらを瓶やブリスター包装、あるいはバイアルラックなどの容器に封入しておいてもよい。さらに、ある投与量として組成物をヒトに投与するための指示もキット内に含まれている。]
[0032] 別の実施形態では、25−OH D3が、単独またはビタミンDとの組み合わせで、ヒトが消費するのに適した食品、機能性食品、栄養補助食品または栄養補給食品中、健康な筋力または筋機能を保つための有効成分である。25−OHおよび/またはD3の投与量は、医薬品製品に存在する場合と同じであってもよいが、好ましくは、それよりも少ない範囲になりやすい。栄養補助食品および栄養補給食品は、錠剤、カプセルまたは他の便利な剤形の形であってもよい。食品は、飲料または食品であってもよく、必要があれば、他のビタミン、ミネラルなど、栄養的に効果的な他の化合物を含有してもよい。]
[0033] ビタミンD欠乏は、特に高齢者の個体群や、年齢とは関係なく慢性的に動けない人々の間で多く見られる症状である。これは、太陽光にあたる時間の全般的な不足、体がビタミンDを作ったりこれを効率的に代謝したりする機能が衰えたこと、あるいは他の多数の原因による場合がある。ビタミンD欠乏による1つの結果に、筋力および/または筋機能の喪失がある。よって、本発明の一態様は、高齢者の個体群においてビタミンDと25−OH D3との組み合わせを使用し、健康な筋力および筋機能を維持し、その喪失を予防および/またはこれを回復することにある。本明細書全体で使用する場合、「高齢者の」という表現は、65歳を超えた個体、好ましくは70歳を超え、さらには80歳を超えた個体すら包含することを想定している。]
[0034] 別の実施形態では、この25−OH D3とビタミンDの組み合わせが、ビタミンD欠乏または不足が特徴である筋力およびまたは筋機能の病気を発症する危険性のある人々で、健康な筋力および筋機能を維持し、その喪失を予防および/またはこれを回復するのに適している。これには、特に閉経後の女性(すなわち45歳前後以上)や45歳前後以上の男性をはじめとする成人を含み得る。これは特に、伝統的に長い衣服を着用する、日常的に屋外に出ない、太陽光にあたるときにサンスクリーン製剤を使用する、あるいは地理的に赤道から北または南に離れた太陽光がそれほど強くない地域で暮らす人々など、自然の太陽光を大量に浴びていない個体には、特に適している。]
[0035] 本発明の別の態様は、ビタミンDと25−OH D3の組み合わせを投与することで、(小児脂肪便症、スプルー症候群または短腸症候群に羅患しているなど)吸収不良症候群を抱え、そのためにビタミンD欠乏の危険性のある人において、健康な筋力および筋機能を維持し、その喪失を予防および/またはこれを回復するための方法である。]
[0036] 本発明の別の態様は、ビタミンDを効率よく処理して25−ヒドロキシビタミンDに変えることのできない肝機能障害のある人において、その人にビタミンDと25−ヒドロキシビタミンD3の組み合わせを提供することで、健康な筋力および筋機能を維持し、その喪失を予防および/またはこれを回復するための方法である。]
[0037] また、本発明の組成物は、高齢者(80歳以下)および極めて高齢者(80歳以上)、特に入院介護施設(病院、養護ホーム、リハビリ施設、老人ホームなど)にいる人や、筋萎縮のある人において、筋量を保持する上で有益である。]
[0038] 本発明の別の実施形態は、25−OH D3を使用して、高齢者の筋力を維持またはその衰えを予防する方法である。筋力の衰えも、高齢者が転倒する主な原因の1つであり、病院で起こる転倒率の高さにつながっていることもある。生理的予備力が低下したが、依然として日常活動(歩行、入浴、排泄機能など)はできる高齢者では、数日間程度でも床上安静後に筋力が急激に衰えて、個々の機能が長期間にわたって失われることがある。仮にこの喪失が最終的には回復したとしても、筋肉を回復させるには衰えさせる過程よりもかなり長い時間がかかるため、リハビリには費用のかかる膨大な介入が必要となる。]
[0039] 本発明の組成物は、高齢者ではないかもしれないが、別の症状が原因で動くことができず筋量が落ちた人で、筋量を保持および/または増やす目的でも有益である。『Merck Manual of Geriatrics』第2版:(p316〜318)に説明されているように、完全に活動しなくなると、筋力は1日あたり5%ずつ低下する。若い男性ですら、床上安静後には1日あたり1.0%〜1.5%(または1週間あたり約10%)ずつ筋力が落ちる。]
[0040] このため、本発明の組成物は、運動量の低下により筋量が落ちた人々あるいは、動くことすらできない人にとって有益である。ここでの目標は筋量が落ちないように保護することであるため、本発明を実施するにあたって運動量が低下した原因は問題ではない。たとえば、運動量の低下が、外傷、脳卒中、ギプス包袋、パーキンソン病、多発性硬化症、重症筋無力症によるものであってもよいし、あるいはクロイツフェルト・ヤコブ病が原因であってもよい。このように、本発明の別の態様は、対麻痺または四肢麻痺の個体に本発明の化合物を投与することにある。]
[0041] 本発明の組成物は、悪液質またはサルコペニアに羅患した人々にとっても有益である。悪液質は、癌やAIDSと同時羅患する「体萎縮」症候群である。骨格筋萎縮を誘発する他の症候群または症状に、鬱血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患、飢餓、火傷などがある。サルコペニアは、筋機能の年齢に伴う衰えと関連する別の症状(悪液質および萎縮とは区別される)である。正確な原因は分かっていない。]
[0042] また、本発明は、筋力が低下した人に利益を与えることに関する。筋力の低下は、疲労の物理的部分である(医療)。筋力が低下する場所は、中枢、神経、末梢である。中枢の筋力低下は、全身での全体としての消耗であるのに対し、末梢での低下は個々の筋肉の消耗である。神経低下は、その間のどこかである。]
[0043] 筋力低下は、神経支配の問題のこともあれば、筋肉そのものが原因となることもある。後者のカテゴリには、多発性筋炎ならびに、筋萎縮性側索硬化症、ボツリヌス中毒、中心核ミオパチー、筋細管ミオパチー、自律神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、低カリウム血症、運動ニューロン疾患、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、重症筋無力症、進行性筋萎縮、脊髄性筋萎縮症、脳性麻痺、伝染性単核症、帯状疱疹、ビタミンD欠乏、線維筋痛症、小児脂肪便症、副腎皮質ホルモン過剰症(クッシング症候群)、低コルチゾール(アジソン病)、原発性アルドステロン症(コーン症候群)および下痢症などの他の筋肉障害が含まれる。]
[0044] [剤形]
ビタミンDおよび25−OH D3は、どのような供給源から入手したものであってもよく、その組成物も従来の技術を用いて調製してもよい。通常、ビタミンD3、25−OH D3またはその両方の結晶を、加熱攪拌しながら(別々にまたは一緒に)油に溶解させる。好ましくは、油を容器に移して加熱する。その後、油の温度を維持または経時的に上昇させながら、ビタミンD3、25−OH D3またはその両方を容器に入れる。組成物を攪拌して、ビタミンD3、25−OH D3またはその両方の結晶を溶解させる。油に入れる前に、製粉および/または篩過によって結晶の大きさを小さくし、溶解しやすくしておいてもよい。組成物の攪拌は、かき回し、容器の回転、混合、均質化、再循環または超音波処理によって実施してもよい。好ましくは、油を容器に入れて約80℃〜約85℃の温度まで加熱し、大きさを揃えた結晶を容器に入れ、中身をかき回して結晶を油に溶解させる。]
[0045] 「油」は、ババス油、ココナッツ油、コフネヤシ油、ムルムル脂、パーム核油またはホシダネヤシ油など、食用油、脂質または脂肪のいずれであってもよい。油は、天然油、合成油、半合成油またはこれらの組み合わせであってもよい。天然油は、どのような供給源に由来するものであってもよい(動物、植物、真菌、海洋など);合成または半合成油は、都合のよい技術で製造してもよい。好ましくは、油は、植物中鎖トリグリセリド、主にカプリル酸およびカプリン酸の混合物である。組成物は、任意に、たとえば、薬学的に許容される酸化防止剤、保存剤、溶解剤、界面活性剤、pH調整剤または緩衝剤、湿潤剤、これらの組み合わせなどの1種類以上の他の好適な成分を含むものであってもよい。上記は、薬学的に許容されるキャリアの例である。]
[0046] 好適な酸化防止剤としては、トコフェロール、混合トコフェロール、天然または合成供給源由来のトコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ローズマリー抽出物のような天然酸化防止剤、没食子酸プロピル、ヒト用医薬品の製造に用いられる他の任意の酸化防止剤があげられる。好ましくは、酸化防止剤がトコフェロールである。好適な保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、これらの組み合わせがあげられる。好適な溶解剤としては、アルコール、塩素化炭化水素、これらの組み合わせなどの無機溶媒または有機溶媒があげられる。好適な界面活性剤は、パルミチン酸アスコルビル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、これらの組み合わせなど、アニオン系、カチオン系または非イオン系であってもよい。好適なpH調整剤または緩衝剤としては、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、これらの組み合わせがあげられる。好適な湿潤剤としては、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、これらの組み合わせがあげられる。]
[0047] 油組成物を形成したら、これを他のさまざまな有用な組成物に取り込むことができる。そのうちのいくつかを、以下にあげておく。たとえば、エマルションを形成してもよく、これを任意にカプセル化または噴霧乾燥させてもよい。上述した非水性組成物を水性組成物と組み合わせることで、多岐にわたるエマルションを調製できる。エマルションは、どのようなタイプであってもよい。好適なエマルションとしては、水中油滴型エマルション、油中水滴型エマルション、無水エマルション、固体エマルション、マイクロエマルションがあげられる。エマルションの調製には、都合のよい任意の技術を使用してもよい。エマルションは、水性組成物と非水性(油など)組成物を含有し、後者は、油組成物の総重量に対して約3重量%〜約50重量%の量で油に溶解されたビタミンD3、25−OH D3またはその両方を(別々にまたは一緒に)含む。本明細書で使用する場合、「水性組成物」および「水性相」は同義に用いられる。通常、エマルションは約20%〜約95%の水性組成物と、約5%〜約80%の非水性組成物とを含み得る。しかしながら、好ましくは、エマルションが約85%〜約95%(vol/vol)の水性組成物と、約5%〜約15%(vol/vol)の非水性組成物とを含有する。都合のよいことに、非水性組成物が液滴として水性組成物中に分散していてもよい。たとえば、液滴の平均直径が水性組成物中で約500nm未満であってもよい。都合のよいことに、液滴の平均直径が約150nm〜約300nmである。]
[0048] 特に有利な実施形態では、エマルションは、後にエマルションをさらに処理する(噴霧乾燥など)際に、油組成物のカプセル化を容易にするカプセル化剤を含有する。カプセル化剤は、油組成物をカプセル化できる食用物質であれば何でもよい。好ましくは、カプセル剤が主にコロイド状物質である。このような物質としては、デンプン、動物供給源由来のタンパク質(ゼラチンを含む)、植物供給源由来のタンパク質、カゼイン、ペクチン、アルギン酸塩、寒天、マルトデキストリン、リグニンスルホン酸塩、セルロース誘導体、糖質、糖類、ソルビトール、ゴム、これらの組み合わせがあげられる。]
[0049] 好適なデンプンとしては、植物デンプン(National Starch & Chemical Corp.,New York,NYのCAPSUL(登録商標)またはHI−CAP(登録商標)など)、他の食品用化工デンプン、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、デンプンがCAPSUL(登録商標)化工植物デンプンである。動物供給源由来の好適なタンパク質としては、ゼラチン(ウシゼラチン、ブルーム強度の異なるブタゼラチン(A型またはB型)、魚ゼラチンなど)、脱脂乳タンパク質、カゼイン塩、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、動物タンパク質がゼラチンである。植物供給源由来の好適なタンパク質としては、ジャガイモタンパク質(Roquette Preres Societe Anonyme, Lestrem,FranceのALBUREX(登録商標)など)、マメタンパク質、ダイズタンパク質、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、植物タンパク質がALBUREX(登録商標)ジャガイモタンパク質である。デキストロース当量の異なる好適なマルトデキストリンとして、マルトデキストリン5、マルトデキストリン10、マルトデキストリン15、マルトデキストリン20、マルトデキストリン25、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、マルトデキストリンが、マルトデキストリン15である。好適なセルロース誘導体として、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの組み合わせがあげられる。好適な糖類として、ラクトース、スクロースまたはこれらの組み合わせがあげられる。好ましくは、糖類がスクロースである。好適なゴムとして、アカシア、ローカストビーン、カラギーナン、これらの組み合わせがあげられる。好ましくは、ゴムがアカシアゴムである。]
[0050] エマルションがカプセル化剤を含む場合、このカプセル化剤を都合のよい技術で水に分散させ、水性相を形成してもよい。水性相は、選択した成分の特性に応じて、溶液であっても混合物であってもよい。選択した成分の分散には、均質化、混合、乳化、再循環、静的混合、超音波処理、かき混ぜ、加熱またはこれらの組み合わせをはじめとする都合のよい技術を用いればよい。その後、得られる水性相の粘度を、必要に応じて水を加えて調整してもよい。エマルションの水性組成物は、非水性組成物に関して上述したものを含むがこれに限定されるものではない、他の好適な物質を任意に含むものであってもよい。好ましくは、水性組成物は、カプセル化剤、成膜剤、可塑剤、保存剤、酸化防止剤またはこれらの組み合わせを含むものであってもよい。好適な保存剤として、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、これらの組み合わせがあげられる。好適な酸化防止剤として、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸、これらの組み合わせがあげられる。]
[0051] 好ましくは、水性相が、オクテニルスクシニルデンプン(CAPSUL(登録商標))、マルトデキストリン、アスコルビン酸ナトリウムなどの食品用化工デンプンを含有する。別の好ましい水性相は、ジャガイモタンパク質(ALBUREX(登録商標))、マルトデキストリン20、アスコルビン酸ナトリウムを含有する。選択した成分を水に溶解させるには、都合のよい技術、好ましくはかき混ぜを使用してもよい。混合物を、好ましくはこれが均一で塊のないものになるまで均質化する。好ましくは、約50℃〜約75℃の温度で均質化を実施する。その後、得られる水性相の最終粘度を、好ましくは約250cp〜約450cp、一層好ましくは約300cp〜約400cp、なお一層好ましくは約385cpの所望の粘度に調整してもよい。]
[0052] エマルションを形成するには、均質化、ロータ−ステータ剪断、高圧剪断およびキャビテーション、高速「カウリング」または剪断攪拌、これらの組み合わせをはじめとする任意の手段で、非水性組成物と水性相を乳化してもよい。エマルションの容量および粘度については、好ましくは、乳化後に水を加えて調整してもよい。好ましくは、非水性組成物および水性組成物を均質化によって乳化する。好ましくは、エマルションは、鉱物、遷移金属またはペルオキシドを含有しないものとする。]
[0053] 上述したように、他の有用な組成物、特に噴霧乾燥粉末などのカプセル化油の製造時に、エマルションを取り込むかまたは利用してもよい。通常、カプセル化油は、油組成物と、油組成物をカプセル化するカプセル剤とを含み、この場合の油組成物は、油に溶解されたビタミンD3、25−OH D3またはその両方を、油組成物の総重量に対して約3重量%〜約50重量%の量で含有する。カプセル化油の製造には、噴霧乾燥、フリーズドライ、流動床乾燥、トレイ乾燥、吸着、これらの組み合わせをはじめとする従来の技術による上述したエマルションの乾燥など、都合のよい任意の技術を用いればよい。好ましくは、カプセル剤を含有する上記の水性相を有するエマルションを噴霧乾燥してカプセル化油を生成する。噴霧乾燥のパラメータは、最終的なカプセル化油に望ましい物理的特徴に左右される。このような物理的パラメータとしては、粒度、粉末の形状とフロー、水分含有量があげられる。好ましくは、油が、カプセル化油の総重量に対して約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満または約5重量%未満の量である。カプセル化油は流動性に優れたものでなければならず、ビタミンD3および/または25−OH D3が組成物全体に均一に分散しなければならない。都合のよいことに、カプセル化油が粉末である。他の好適な添加剤をカプセル化油に加えてもよい。このような添加剤の1つが、カプセル化油の流動性を高めるための二酸化ケイ素などのフロー剤であってもよい。]
[0054] この組成物は、錠剤、カプセル(硬質または軟質など)または注射液(油またはエマルションなど)の形で提供できるものである。これらを1日の単回用量ごとに包装してもよい。]
[0055] [投与量]
毎日.2種類の有効成分を別々に投与する場合の本発明による組成物は、ビタミンDまたは25−OH D3を、約1μg〜約50μg、好ましくは約5μgおよび25μgの量で含有する。あるいは、ビタミンDと25−OH D3の両方を含む1日の単回投与量に、各有効成分を、約1μg〜約50μg、好ましくは約5μgおよび25μgの量で含有する。]
[0056] ビタミンD対25−OH D3の用量比については、約50:1〜約1:50であってもよく、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6であってもよい。]
[0057] 別個の複数の投与量を単一のキット(または容器)に梱包してもよい。たとえば、1日の投与量30組を、両方の活性成分を別々に分けて(すなわち別々の60の投与量)キットを構成してもよいし、混合(すなわち両方の有効成分を含有する30の投与量)して構成してもよい。この投与量をヒトに投与するための指示をキットに入れておいてもよい。]
[0058] 毎週.1週間の単回投与量には、ビタミンDまたは25−OH D3を約7μg〜約350μg、好ましくは約35〜175μgの量で含有する。あるいは、1週間の単回投与量が、ビタミンDと25−OH D3の両方をそれぞれ約7μg〜約350μg、好ましくは約35〜175μgの量で含有してもよい。ビタミンD対25−OH D3の用量比については、約50:1〜約1:50であってもよく、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6であってもよい。]
[0059] 毎月.1ヶ月の単回投与量には、ビタミンDまたは25−OH D3を30μg〜約1500μg、好ましくは約75μg〜約500μgの量で含有する。あるいは、1ヶ月の単回投与量が、ビタミンDと25−OH D3の両方をそれぞれ、30μg〜約1500μg、好ましくは約75μg〜約500μgの量で含有してもよい。1週間または1ヶ月の投与量を1組、2組、3組、4組、5組、6組、7組、8組、9組、10組、11組または12組でキットを構成してもよい。]
[0060] ビタミンD対25−OH D3の用量比については、50:1〜約1:50の範囲とし、一層好ましくは約25:1〜約1:25、なお一層好ましくは約6:1〜約1:6の範囲とする。]
[0061] [遺伝子解析]
この組み合わせの生物活性の増加を実証するために、ビタミンD、25−OH D3、組み合わせに曝露した筋肉組織の遺伝子チップ解析を実施した。詳細については、マウス後肢懸垂モデルを用いて実施例2にあげておく。ここから分かるように、2つの組み合わせを送達すると、個々に投与した場合よりも活性化または制御される(上方制御または下方制御のいずれか)遺伝子数が劇的に増加する。現時点で、ビタミンDの大部分が摂取および肝臓での処理時に25−OH Dに変換されると考えられているため、これは意外な結果である。]
[0062] このように、本発明の別の態様は、ビタミンDと25−OH D3の組み合わせを人に投与することを含む、ビタミンDおよび25−OH D応答性ヒト筋肉関連遺伝子を活性化または制御するための方法である。]
[0063] 以下の非限定的な実施例は、本発明を一層よく例示するために示すものである。]
[0064] [実施例]
[実施例1]
[治験]
[製剤]
[材料および方法]
25−OH D3の噴霧乾燥製剤を粉末として提供した。要約すると、25−OH D3およびDL−α−トコフェロールを中鎖トリグリセリドの油に溶解させた後、化工デンプン、スクロース、アスコルビン酸ナトリウムの水溶液に乳化した。このエマルションを二酸化ケイ素の存在下にて噴霧乾燥器で微粒化した。水分含有量(LDO)が4%未満になったら、得られた粉末を回収し、400μmで篩過した。これをアルミ製の袋に包装して封止した後、15℃未満の乾燥した場所で保管し、製造から12ヶ月以内に使用した。]
[0065] 3種類のロットを製造した。詳しく説明すると、アンカー型攪拌羽根を備えるFRYMIXプロセスユニットで、70℃にて真空下で120分間混合してマトリクスを生成した。
・17.300kgの水(WBI)
・13.460kgの食品用化工デンプン(CAPSUL HS)
・3.270kgのスクロース
・0.730kgのアスコルビン酸ナトリウム]
[0066] プロペラスターラーを備える二重壁容器で、82℃にて35分間混合して、油相を調製した。
・0.550kgのBERGABESTMCT油60/40
・0.049kgのカルシフェジオール(HY−D USP)
・0.183kgのDL−α−トコフェロール]
[0067] 油相をFRYMIXプロセスユニット内のマトリクスに移し、内部のコロイドミル(60分、70℃)で事前乳化させた。この事前乳化物を高圧ホモジナイザに循環させた(20分)。70℃での粘度が60mPa・s〜90mPa・sのエマルションを高圧ポンプでスプレーノズルまで送った。流動化剤として、二酸化ケイ素(SIPERNAT 320 DS)を塔に供給した。噴霧乾燥パラメータを以下にあげておく。]
[0068] ]
[0069] 3ロットの25−OH D3それぞれについて、25−OH D3含有量約0.25%の噴霧乾燥粉末平均8.4kgを得た。製剤の他の成分は、食品用化工デンプン73.2%、スクロース17.6%、アスコルビン酸ナトリウム4.0%、中鎖トリグリセリド3.0%、二酸化ケイ素1.0%、DL−α−トコフェロール1.0%である。]
[0070] ビタミンD3の噴霧乾燥製剤を粉末として提供した。要約すると、ビタミンD3およびDL−α−トコフェロールを中鎖トリグリセリドの油に溶解させた後、化工デンプン、スクロース、アスコルビン酸ナトリウムの水溶液に乳化した。このエマルションを二酸化ケイ素の存在下にて噴霧乾燥器で微粒化した。水分含有量(LOD)が4%未満になったら、得られた粉末を回収し、篩過して大きな塊を取り除いた。これを15℃未満の乾燥した場所で保管し、製造から12ヶ月以内に使用した。]
[0071] [治験]
[被験者]
インフォームドコンセントを用いて健康な閉経後の女性(50〜70歳)を募集し、以下の基準でふるい分けた。血清25−OH D3が20nmol/L〜50nmol/L、肥満度指数18kg/m2〜27kg/m2、血圧146/95mm Hg未満、血清カルシウム2.6nmol/L未満、空腹時グルコース100mg/dl未満、1週間に3回を超えて激しい運動をしない、高血圧症の治療歴なし、骨代謝に影響する高用量ビタミンDまたはカルシウムサプリメントまたは薬物(ビスホスホネート、カルシトニン、エストロゲン受容体調節因子、ホルモン補充療法、副甲状腺ホルモン)の使用歴なし、研究中は「日当たりの良い」場所に足を運ばない。]
[0072] 被験者を7つの処理群(すなわち、毎日、毎週、一用量でのボーラス、組み合わせ用量でのボーラス)に無作為に振り分けた。各群を被験者5名ずつで構成した。彼らをスイスのチューリッヒで冬季に4ヶ月間追跡する。]
[0073] [臨床研究]
目的は、ヒトに投与したビタミンD3および25−OH D3の薬物動態特性を研究および比較することであった。両方の物質を等モル量で調査した。レジメンは、25−OH D3を20μg/日(またはそれに相当する量を週ベースで)とする。25−OH D3の既存の最大基線濃度が50nmol/Lになったら、Ca2+恒常性の乱れが観察される範囲に被験者が近づくとは思われない。比較目的で、等モル量のビタミンD3または25−OH D3のいずれかを投与する必要がある。ビタミンD3の投与に関しては、バックグラウンドのばらつきに影響されず、参加者にとっての有効用量を提供するのに十分な用量であると思われる。]
[0074] 毎日:120回投与
1. 25−OH D3 20μg
2.ビタミンD3 20μg(800IU)
毎週:16回投与
3. 25−OH D3 140μg
4. ビタミンD3 140μg(5600IU)
ボーラス:単回投与
5. 25−OH D3 140μg
6. ビタミンD3 140μg(5600IU)
ボーラス:組み合わせ投与
7. D3および25(OH)D3 140μg(5600IU)+140μg]
[0075] ハードゲルカプセル(瓶入り)には、噴霧乾燥ビタミンD3または25−OH D3のいずれかが1カプセルあたり20μgまたは140μgのいずれかで含まれている。各投与量を朝食時に経口摂取する。研究期間は、「毎日」および「毎週」群で4ヶ月である。「ボーラス」群に登録された被験者は、2回目の研究での来訪時に単一投与量を経口摂取する。]
[0076] この投与量を摂取後、さまざまな時点で被験者から試料を入手して、25−OH D3の血漿濃度(ピークおよび定常状態など)を求める。スクリーニング目的と基線値を確立するために、研究への参加前に血液試料を採取し、臨床検査室で、血清中のビタミンD3、25−OH D3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、空腹時グルコースを測定する。研究1週目の月曜日に、血清ビタミンD3、25−OH D3、1,25−ジヒドロキシビタミンD3の薬物動態;血清マーカー(すなわち、ビタミンD3、25−OH D3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、PTH、GOT、GPT、ALP、トリグリセリド、HDL、LDL、総コレステロール、bALP、空腹時グルコース);尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、DPD)を24時間かけて評価する。1週目の残りの日と2週目の月曜日の1日試料を採取して、血清ビタミンD3および25−OH D3、血清マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、アルブミン)、尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン)を評価する。3、5、7、9、11、13、15週目の月曜日にも評価を継続する。16週目の月曜日には、試料を採取して、血清ビタミンD3、25−OH D3、1,25−ジヒドロキシビタミンD3;血清マーカー(すなわち、ビタミンD3、25−OH D3、カルシウム、クレアチニン、アルブミン、PTH、GOT、GPT、ALP、トリグリセリド、HDL、LDL、総コレステロール、bALP、空腹時グルコース);尿マーカー(すなわち、カルシウム、クレアチニン、DPD)の薬物動態を評価する。]
[0077] 以下の標準的なパフォーマンス検査で筋力および筋機能を評価した。1週目の2回目の来訪(基線)と研究の最後における15回目の来訪時に、膝の屈筋力および伸筋力、反復座り立ち試験、タイムアップアンドゴー(TUG)。筋力については、膝の伸筋および屈筋をニュートン(キロポンド)単位で測定した。TUGは、筋力、歩行速度、バランスを含む機能的運動性を示す指標の1つであり、秒単位で評価される。反復座り立ちは機能試験であり、秒単位で測定される。]
[0078] [結果]
表1に、25−OH D3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)またはビタミンD3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)の筋力の変化を示す。治療期間は4ヶ月とした。値については、4ヶ月後の変化対基線(治療開始前)としてあげておく。]
[0079] ]
[0080] 表2は、ビタミンD3で毎日および毎週治療(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)した場合との比較で、25−OH D3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)の筋力の相対変化を示す。治療期間は4ヶ月とした。値は、25−OH D3対ビタミンD3の基線での力、年齢、肥満度指数に合わせて調整した、GLM(一般線形モデル)の最小二乗平均を改善率の%単位で示したものである。]
[0081] ]
[0082] 表3は、25−OH D3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)またはビタミンD3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)の筋機能の変化を示す。治療期間は4ヶ月とした。値は、4ヶ月後対基線(治療開始前)でタスクを終えるのに必要な時間(単位は秒)で示したものである。]
[0083] ]
[0084] 表4は、ビタミンD3で毎日および毎週治療(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)した場合との比較で、25−OH D3で毎日および毎週治療後(1日あたり20μg;1週間あたり140μg)の筋機能の相対変化を示す。治療期間は4ヶ月とした。値は、25−OH D3対ビタミンD3の基線での機能、年齢、肥満度指数に合わせて調整した、GLM(一般線形モデル)の最小二乗平均をタスクを終えるのに必要な時間の%単位で示したものである。]
[0085] ]
[0086] これらのデータから、25−OH D3で毎日または毎週治療すると、意外なことに同じ投与量のビタミンD3を摂取する場合に比して筋力および筋機能がかなり大きく改善されることが分かる。25−OH D3での治療後、被験者は治療前やビタミンD3で治療した場合よりも膝の屈伸がよくできるようになった。25−OH D3対ビタミンD3で治療した被験者における筋力の相対的な改善は3〜18%であったが、これは臨床的に意義があり、なおかつあらゆる年齢層、特に閉経後の女性の被験者で有意な利益を表すエフェクトサイズである。]
[0087] 標準的なパフォーマンス検査(反復座り立ち、タイムアップアンドゴー)で判断した筋機能は、同じ投与量のビタミンD3での治療に比して、25−OH D3で治療した被験者のほうがよかった。25−OH D3での治療後、治療対象となった被験者は、治療前やビタミンD3での治療時に比して、短時間でパフォーマンス検査を終えた。25−OH D3対ビタミンD3での治療後における筋機能の相対的な改善は8〜14%であったが、これは臨床的に意義があり、なおかつあらゆる年齢層、特に閉経後の女性の被験者で有意な利益を表すエフェクトサイズである。]
[0088] さらに、4つの下肢試験(膝伸長、膝屈曲、タイムアップアンドゴー、反復座り立ち)に対する未調整の解析によって、25−OH D3で治療した被験者のほうが、同じ投与量のビタミンD3で治療した被験者よりも下肢の力と機能を維持または改善する尤度が2.8倍高いことが明らかになった。この効果は、統計的に有意かつ臨床的に意義があり、骨格筋の筋力と機能の維持または改善を目指した治療に25−OH D3が好適であることを示している。]
[0089] [実施例2]
[遺伝子チップデータ]
この研究の目的は、尾部懸垂が動物の負荷軽減した後肢の骨格筋萎縮につながる、BalbCマウスを用いる骨格筋萎縮モデルにおいて、ビタミンD3、25−OH D3、ビタミンD3と25−OH D3の組み合わせによる効果を試験することであった。当初、このモデルはヒトの宇宙飛行を模するためにラットで確立され、他の科学技術分野でも骨格筋質量または骨の喪失の研究に一般に用いられている。結果は、サルコペニア(加齢に伴う骨格筋の質量と力の変性喪失)または骨格筋の運動不足(骨折、外科手術または外傷による長期の床上安静後など)などのヒトでの症状を示すものとみなされる。]
[0090] 方法 本発明者らの研究のために、研究の最初に9ヶ月齢のメスのBalbCマウスを無作為に1群あたり動物10匹で4群に分けた。
1.対照群:後肢負荷軽減(HU)
2.ビタミンD3群:HU+ビタミンD3での処理
3.25−OH D3群:HU+25−OH D3での処理
4.ビタミンD+25−OH D3群:HU+ビタミンD3および25−OH D3(組み合わせ)での処理]
[0091] 動物を7日間にわたって特別なケージに入れておいた。すべてのマウスを別々に分けて収容し、水と餌をいつでも自由に摂取できるようにしておいた。すべての動物を実験開始時と切開3時間前の2回、経管栄養で処理した。
1.対照群はビヒクル(ゼラチン)を摂取
2.D3群はビタミンD3(50μg/kg/bw)を摂取
3.25−OH D3群は25−OH D3(50μg/kg/bw)を摂取
4.組み合わせ群はビタミンD3+25−OH D3(50+50μg/kg/bw)を摂取]
[0092] 研究終了時、腓腹筋を採取し、以後の解析用に液体窒素で直接凍結させた。遺伝子発現の変化を確認し、腓腹筋のmRNAレベルのシフトを解析するために、本発明者らは、このアレイタイプ用にAffymetrixから入手したAffymetrix Mouse 430−2マイクロアレイをバージョン27(2008年12月)のアノテーションファイルと一緒に用いた。アレイには、「34,000を超える十分にキャラクタライズされたマウス遺伝子およびUniGeneクラスター由来の39,000を超える転写物と変異体の発現レベルを分析するための45,000のプローブセット」を含む(Affymetrix、2009)。]
[0093] 一般に用いられているTrizolプロトコールを使って全RNAを単離した。このRNAを分光光度解析によって定量化した。全RNA試料の完全性もAgilent 2100 Bioanalyzerで定性的に評価した。次に、1サイクルのcDNA合成用にRNAを調製した。このステップには、ポリ−ARNA対照を使用して、真核標的標識プロセス全体をモニタするための外来の陽性対照を得る。第1のcDNA合成を実施し、第2鎖cDNA合成後、二本鎖cDNAからcDNAをクリーンアップする。次に、ビオチン標識cRNAを合成し、クリーンアップし、分光光度計を用いて260/280nmで定量化する。最適なアッセイ感度を得るには、Geneチッププローブアレイへのハイブリダイゼーション前にcRNA標的を断片化しておくことが重要である。断片化後、チップ(Affymetrix Mouse 430−2チップ)でプローブをハイブリダイズする。チップを洗浄し、Affymetrixの流体ステーションにて染色し、遺伝子チップスキャナでスキャンする。次に、Genedata(Expressionist 5.0: Refiner Array and Analyst)から入手したソフトウェアを用いてさらに解析するために、データをスキャナから転送する。データの解釈とパス解析については、GeneGo Metacoreパッケージ(V5.2 build 17389)のオンライン版を用いて実施した。]
[0094] 一層精密なアレイで、品質に関する事項についてマイクロアレイデータを評価し、問題のある測定にフラグを立てる。これによって、生のマイクロアレイデータを以後の統計解析用に自動的に前処理してまとめるための一組の正規化アルゴリズムと有効な簡略化方法が得られる。]
[0095] マイクロアレイデータを解析したところ、HU群とHU+処理群(ビタミンD3、25−OH D3または組み合わせ)とで発現の異なる遺伝子(mRNA)が明らかになった。]
[0096] 本発明者らによる重要な所見は、以下のとおりである。
1.25−OH D3とビタミンD3とを組み合わせると、25−OH D3よりも多くの遺伝子のプローブセットが変化する。結果として、ビタミンD3(表)よりも多くの遺伝子のプローブセットが変化する。
a.HU対照群と比較して、組み合わせ処理(D3+25−ヒドロキシビタミンD3)を実施した群では、25−OH D3だけで処理を実施した群(1263)よりも有意に多くの遺伝子のプローブセットが変化した(1745)。
b.HU対照群と比較して、25−OH D3で処理した群では、ビタミンD3での処理を実施した群(385)よりも有意に多くの遺伝子のプローブセットが変化した(1263)エラー!参照ソース見つからず)]
[0097] 2.25−OH D3+ビタミンD3の組み合わせ処理では、ビタミンD3での処理よりも25−OH D3での処理のほうが、共通の遺伝子の発現の異なるプローブセットが多い。
a.25−OH D3群で発現の異なる約61%の遺伝子のプローブセットが、25−OH D3+ビタミンD3群でも発現が異なる(1263のうち769、図2)
b.ビタミンD3群で発現の異なる約46%の遺伝子のプローブセットが、25−OH D3+ビタミンD3群でも発現が異なる(385のうち177、図3)
c.図4、図6、図7に示すように、25−OH D3とビタミンD3の組み合わせ処理が、筋肉発達過程の遺伝子に最も有意な影響がある。
d.関与する遺伝子は、骨格筋における以下のメインカテゴリのうちの一部である:筋肉収縮、筋肉発達、筋肉維持(表)。] 図2 図3 図4 図6 図7
[0098] 3.骨格筋の選択した遺伝子のプローブセットについては、25−OH D3とビタミンD3での組み合わせ処理で、ビタミンD3のみまたは25−OH D3のみでの処理より発現が多い(表)。]
[0099] ]
[0100] ]
[0101] ]
[0102] [特定の選択した遺伝子に関する考察]
ヒトの寿命までの間、骨格筋は運動やトレーニングなどの異なる刺激に対してのみならず、運動不足にも永久に順応しつづける。骨格筋は、肥大または萎縮という形で応答する。骨格筋の発達と順応は複雑なプロセスである。簡単に説明すると、サテライト細胞−いわゆる骨格筋の幹細胞−が刺激を受け取り、未分化の筋芽細胞を形成する。これが融合して筋管−新たな筋肉繊維が形成される。]
[0103] 骨格筋の移動と順応のためには、収縮が重要である。骨格筋の収縮は、サルコメアに組織された2種類の主な骨格筋繊維であるミオシン(太いフィラメント)とアクチン(細いフィラメント)の相互滑走である。ミオシンとアクチンは、顕微鏡で観察すると骨格筋の横紋構造をなしている。]
[0104] 細いフィラメントと太いフィラメント以外に、骨格筋にはタイチンおよびネブリンもあり、さらにトロポミオシンなどのサルコメアタンパク質もある。骨格筋の機能は、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントならびに、α−アクチニン、ミオメシン、M−タンパク質、タイチン、デスミンおよびミオシン結合タンパク質などのアクセサリータンパク質の厳密な配置に左右される。]
[0105] ミオメシンとM−タンパク質がタイチンおよびミオシンフィラメント系を結合でき、太いフィラメントを集合サルコメアに取り込む際にミオメシンが何らかの役割を果たすのではないかと示唆されている。タイチンは、巨大なタンパク質であり、筋原線維で連続フィラメント系を形成する。横紋筋の優勢な中間フィラメントタンパク質はデスミンであり、筋原線維の完全性と配列の維持に寄与している。]
[0106] いくつかのタンパク質成分(ミオシン重鎖、アクチン、トロポミオシンなど)ならびにサルコメアタンパク質(タイチン、デスミンなど)の変異が、筋疾患/ミオパチーと関連している。]
[0107] トロポミオシン1、α(Tpm1):
ウィキペディアに記載されているように、
「トロポミオシンは、アクチンの働きを調節するアクチン結合タンパク質である。これは特に、筋収縮のために重要である。トロポミオシンは、トロポニン複合体と一緒に筋繊維のアクチンと連動し、ミオシンの結合を調節することで筋収縮を調節する。安静時の筋肉では、トロポミオシンがアクチン上のミオシン結合部位をふさぎ、トロポニンT(トロポミオシン結合トロポニン)およびトロポニンI(抑制性トロポニン)によってこの位置に「係止」される。筋小胞体からカルシウムが放出されると、カルシウムがトロポニンC(カルシウム結合トロポニン)と結合する。これによってトロポミオシンがアクチンから「離脱」され、結合溝から外れて動くことができるようになる。これでミオシンの頭部はアクチンの結合部位に結合できる状態になる。ミオシンの頭部が1つ結合すると、それによってトロポミオシンが完全にずれて別のミオシンの頭部が結合できるようになり、筋肉の短縮および収縮が開始される。細胞質からカルシウムがポンプ輸送され、カルシウムレベルが正常値に戻ると、トロポミオシンが再びアクチンと結合して、ミオシンが結合するのを防止する。」]
[0108] トロポミオシン1αは、発達と筋機能(筋収縮など)に必要な遺伝子である。通常、筋特異的トロポミオシンはアクチン−ミオシン相互作用を調節し、よって収縮する。コードされたタンパク質は、横紋筋の優勢トロポミオシンを形成するα螺旋鎖の一タイプであり、筋収縮時にアクチンおよびミオシンのカルシウム依存性相互作用を調節するようトロポニン複合体との連動でも機能する(NCBI)。]
[0109] ]
[0110] [25−ヒドロキシビタミンD3処理群からの例]
ミオシン、軽鎖キナーゼ(MYLK):
ウィキペディア:
「Mylkはヒト遺伝子である。この遺伝子は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリに属する筋肉メンバであり、カルシウム/カルモジュリン依存性酵素であるミオシン軽鎖キナーゼをコードする。このキナーゼはミオシン調節軽鎖をリン酸化して、収縮活性を得るためのアクチンフィラメントとの間のミオシン相互作用を容易にする。この遺伝子は、平滑筋と非筋肉アイソフォームの両方をコードする。また、3’領域のイントロンにおける別のプロモーターを使用して、この遺伝子はテロキンをコードする。テロキンは、平滑筋にて独立に発現され、未リン酸化ミオシンフィラメントを安定化させるよう機能するミオシン軽鎖キナーゼのC末端と配列が同一の小タンパク質である。第3番染色体のp腕に偽遺伝子が存在する。カルシウム/カルモジュリン依存性酵素の4つのアイソフォームを生成する4つの転写変異体ならびに、テロキンの2つのアイソフォームを生成する2つの転写物が同定されている。別の変異体も同定されているが、全長転写物が欠けている。」]
[0111] ]
[0112] [ビタミンD3+25−ヒドロキシビタミンD3処理群からの例]
ウィキペディア:
ミオメシンは、M線の一部であるエンドライン()タンパク質である。M線でミオシンの太いフィラメントを結合する。]
[0113] ]
[0114] ウィキペディア:
「タイチンは、コネクチンとしても知られ、横紋筋組織の収縮において重要なタンパク質である。タイチンは、横紋筋に豊富に存在する大きなタンパク質である。このタンパク質は、2つの領域に分けられる。
N末端I帯は、分子の弾性部分であり、プロリン、グルタミン酸、バリン、リシンを豊富に含むPEVK領域の両側に、免疫グロブリンドメインが直列した2つの領域を含む。
C末端A帯は、タンパク質の定規として作用すると考えられており、免疫グロブリンとフィブロネクチンの反復領域が混在し、キナーゼ活性を有する。
N末端Z盤領域およびC末端M線領域は、それぞれサルコメアのZ線およびM線と結合するため、タイチン分子1つがサルコメアの長さの半分にまでおよぶ。タイチンは、筋肉関連タンパク質への結合部位も含むため、筋細胞における収縮機構の会合のための接着型枠として機能する。また、染色体の構造タンパク質としても同定されている。タイチンのI帯、M線、Z盤領域にはかなりのばらつきが存在する。I帯領域のばらつきは、タイチンアイソフォームごとの弾性の違いを生み、したがって、タイプの異なる筋肉の弾性の違いを生む。同定された多くのタイチン変異体のうち、完全な転写情報が入手可能な5つについて説明する。」]
[0115] タイチンは、
Z線領域:テレソニンおよびα−アクチニン
I帯領域:カルパイン−3およびオブスクリン
M線領域:ミオシン結合タンパク質C、カルモジュリン1、CAPN3、MURF1
を含む多くのサルコメアタンパク質と相互作用する。]
[0116] ]
[0117] [実施例3]
[マウスモデル]
この研究の目的は、C57BL/6Jマウスの持久運動能試験および筋肥大モデルにおいて25−OH D3の作用を試験することであった。腓腹筋を除去すると、筋力改善と脚力につながる複数の機序によってヒラメ筋および足底筋で代償性肥大が誘発されることが、当該技術分野において認識されている。]
[0118] 動物10匹からなる2群を麻酔し、動物の左後肢を固定した。すべての動物に鎮痛剤を与えた。腓腹筋上の皮膚に小さな切開創を作った。腓腹筋と腱全体を露出させた。腓腹筋の両方の頭部を、下にある無傷の筋肉から慎重に切り離し、神経と血管を破断しないよう注意を払った。絹の縫合糸で皮膚を閉じ、動物をケージに戻した。麻酔が切れた後、動物はケージの中で何ら問題なく直接動くことができた。動物に経管栄養で1日投与量50μg/kgの25−OH D3を与え、対照群にはビヒクルを与えて3週間処理した。研究終了時、齧歯類用のトレッドミルですべての動物の持久運動能を試験した。]
[0119] 25−OH D3で処理した動物で、対照動物よりもヒラメ筋と足底筋の湿重量が増えた(表8)。さらに、筋重量を体重との比較でマウスの体重に正規化すると、25−OH D3で処理した動物に、ヒラメ筋−足底筋重量/体重比の増加が認められた(表8)。筋肉および全下肢部分のコンピューター断層撮影法測定によって、25−OH D3での処理が骨格量を増すことが確認された(表8)。25−OH D3を摂取した動物に、対照マウスに比して走行距離と走行時間が長くなることで示された持久運動能の増加が認められた(表8)。]
[0120] 表8は、投与量50μg/kg/日の25−OH D3または偽薬(対照)で3週間処理したマウスの筋重量、筋重量/体重比、全下肢および筋肉断面積、走行距離、走行時間を示す。]
[0121] ]
权利要求:

請求項1
筋力、筋機能またはその両方を増すのに十分な量で、25−OHD3をヒトに投与することを含む、ヒトにおいて筋力または筋機能を増大または保持あるいは、その喪失を予防する方法。
請求項2
ビタミンD3を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項3
ヒトが、成人または高齢の成人である、請求項1または請求項2に記載の方法。
請求項4
ヒトにおいて筋機能または筋力を増大または保持あるいは、その喪失を予防するのに十分な量で25−OHD3を含む、医薬品、栄養補給食品、栄養補助食品または食品組成物。
請求項5
量が、癌またはAIDS関連悪液質、脳卒中、萎縮、筋力低下、多発性筋炎、筋萎縮性側索硬化症、ボツリヌス中毒、中心核ミオパチー、筋細管ミオパチー、自律神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、低カリウム血症、運動ニューロン疾患、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、重症筋無力症、進行性筋萎縮、脊髄性筋萎縮症、脳性麻痺、伝染性単核症、帯状疱疹、ビタミンD欠乏、線維筋痛症、小児脂肪便症、副腎皮質ホルモン過剰症(クッシング症候群)、低コルチゾール(アジソン病)、原発性アルドステロン症(コーン症候群)および下痢症などの二次症状が原因の運動不足からなる群から選択される筋疾患または症状に羅患している患者において筋力を増すのに十分な量である、請求項4に記載の組成物。
請求項6
ヒトにおいて筋機能または筋力を増大または保持あるいは、その喪失を予防するための医薬品、栄養補給食品、栄養補助食品または食品組成物の製造に、25−OHD3および任意にビタミンDを用いる使用法。
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WO2009101137A1|2009-08-20|
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